兄と家族と

私には、兄が一人いる。3歳上の兄だ。
彼は、私が言うのも何だが、よくわからない奴である。
たぶん、彼も私のことをよくわからない奴だと思っているのであろうが。

兄弟の関係性というものは、「凄く仲が良い」か、「凄く仲が悪い」のどちらかになることが多いような気がする。
私と兄の関係性は、どちらにも当てはまらない。
なんと説明したらいいのかよくわからないが、
好きでも嫌いでもないし、仲が良くも悪くもない感じなのだ。
友達だったら、なんとなく疎遠になっていくタイプの人間である。


そんな兄が、今年の4月に結婚した。


結婚すると言う話を耳にしたとき、驚いた。

結婚するような甲斐性の持ち主ではない……いや、違う。
なんだか、兄と結婚という言葉が頭の中で結びつかなかったのである。

お相手は音楽の先生だか何だかで、まあ普通の女性だ。
兄も多少変わったところがあるとはいえ、まあ普通の男性だ。
何度かツーショットも見ているが、なんというかお似合いのカップルであった。
“波長が合っている”感じが伝わってきた。

結婚式、私はカメラマンになった。
正直、兄の結婚式と言われても、そこまで参加したいとは思わなかった。
はっきり言ってしまえば、休日にご祝儀を持って出かけていくような気分はしなかった。
さらに「カメラを撮ってくれ」と言われてデジカメとHDDビデオカメラを渡されて、
私はどうやって式を楽しめばよいのだろう。

そんな想いが頭の中を駆け巡り、当日はたいそう重い気分で家を出たものだが。
でもまあ結果として、悪くない一日になったのではないだろうか、とか思っている。
片手にデジカメ、もう片手にビデオカメラを持ち、頑張って撮影している姿は、端から見るとなかなかに滑稽だったろう。
これは、式場の外を撮ったもの。悪くない景色だった。


そんなこんなで今年、家族が増えた。これからもたぶん、増えていくだろう。
私にはあまり実感はないが、まあ家族っていうのはそんなもんなんだろう。