冤罪の主張

「冤罪」という恐ろしい現実があることを強烈に知ったのは、たぶん成人になってからのような気がする。
殺人事件であっても冤罪で何十年も牢屋にぶち込まれることだってある。そんなニュースを見る度にやるせなくなるし、司法という巨大な力に憤りを覚える。
冤罪といえば、痴漢が最たるもの。
痴漢冤罪で言われなき罪を背負うことになる人がいる。
あれはどんだけ「やってない!」と言い張っても無駄らしい。


「誰でも最初はやってないと言うんだ」


こうゆう決まり文句で来るからだ。
そんな時にどんな主張をすれば、どんなことを喋れば、痴漢の冤罪を免れることができるのかっていうことだ。ボクはかなり実用的なことを書こうとしている。どうか冤罪で捕まった時の参考にしてほしい。


「俺の親父は農林水産省だぞ!」


まずこれだ。これはどうだろうか。ちなみにこのセリフは、かつてある友人が、酔った流れでヤクザ絡みの問題に発展しそうになった時に言い放った言葉だ。
こんな安いテレビドラマみたいなセリフを現実世界で言うとは、正直アッパレ以外にない。
話は戻って、このセリフで相手は冤罪を撤回してくれるのかどうかだが、答えはNOだと思う。
この場面で「農林水産省」の看板を出しても効力はまるで見えない。せめて「警視庁」にするべきかもしれない。それでも、取り調べの警察が青島(踊る大捜査線)みたいな男だったら無理だと思うけど。
次に移ろう。


「余命1週間なんです」


自分の命を人質に取るという方法はどうか。
「余命1週間か…ならば、可哀想だな。見逃してあげよう」ってなるわけがない。
そして、たぶんこの発言をする奴は100パーセント痴漢をやっていると思う。
罪を償ってほしい。


「…僕もずっと触られてました」


これしかないと思う。
犯人が他にいることをほのめかし、自分もその被害者であるという供述である。
かなりの演技力が必要だ。バレたらおしまいだから。
まずリアルに泣きださなければならない。
触られたことが相当ショックだったことを切々と訴えるのだ。
冤罪を仕掛けて来た女が呆れて「…私、もういいです」と降参してしまうような本気度を見せるってことだ。問題の矛先を本気で変えるってことだ。正面からぶつかるよりも、裏からぶつかる。そうゆうやり方、ボクは結構好きなんですがどうでしょうか。
でも、まぁ、現実的はないです。上手く行く予感がしませんから。


冤罪や痴漢に合わないイチバン良い方法は、目的地へ始発の電車で向かうことでしょう。では。<文・フルタジュン>


★来週のキーワードは「初恋」です。