4コマ目のオチ


(写真と本文は一切関係ありません)


どうしてカップルは駅の改札手前でケンカするんだろう。
本当にしょっちゅう見るんだけど。
皆さんはいかが?


男も女も黙ったまま向き合い、アメリカとソ連みたいな冷戦を繰り広げている。
もっと分かりやすく怒鳴り合いのケンカでもしてくれたらいいんだけど、残念ながらそうではない。一見、別れを惜しんでいるカップルに見えなくもない。でも、表情を見れば明らか。目はアジの開きみたいにどよーんと死んでいる。
誰も得しないあのケンカ、どこか他所でやって頂きたい。改札の近くは皆が通るからね、皆のテンションがね、下がっちゃうんだよ。
という誰に向けた提言か分からないが、それはそれとして4コマ漫画について書こう。


言わずと知れた物語構成の基本に、起・承・転・結というのがある。それはそのまんま4コマ漫画のルールにも当てはまる。起きたことが色々と盛り上がって最後にオチが来るっていう、あれね。笑えるオチもあれば驚きのオチもある。とにかく4コマ目で納得の決着を付けてもらわなければそうは問屋が卸さない。


4コマ漫画はそれでいいのかもしれない。たった4コマの明白なストーリー。でも、僕らの人生はこうはいかない。こうはいかないくせに物語にばかり好き勝手な要求を突き付ける。もっと「転がほしい」だとか、「こんな結じゃ納得できません」などと言いやがるでしょ? 上に書いたケンカするカップルじゃないけど、僕らの生活が4コマ漫画になったら、それはそれはくそつまんないものになるよ。1コマ目から4コマ目まで、たぶん何にも変わらない。どうせ黙ったままの2人。どうせそれでおしまい。

人生の一部を切り取られても、結局はそんなもんだ。
気の利いた「転」もなければ、大した「結」もない。そんなもん。


ならば、駅前のカップルが4コマ目で何を言えばオチるのか。
どんな洒脱なセリフを言わせれば。
皆さんも考えてみてはいかがでしょうか。
では、オチを考えながら今日のワンダーランドはサヨウナラです。




男「……」
女「……」






男「……」
女「……」






男「……」
女「……」






男「……ブス」
女「……でぶ」<文・フルタジュン>


★次回のキーワードは「部活」です。