青春漫画のヘイガイ

部活にこそ人間の青春が詰まっているという幻想は、数々の青春漫画がもたらした弊害かもしれないと僕は考えたことがある。
真剣に。
日本中の漫画家たちは、王道スポーツからマイナーなスポーツまで、金塊を探すような目つきで片っ端から漫画化していった。
もう漫画化されてない部活を探す方が難しいと思う。
でね、その漫画がつまらなかったらいいんですよ。つまらないなら何の問題もない。
けど、どれもこれも面白いと来ている。
悔しいぐらいに面白い。
本当に厄介極まりない。
そして、ここが非常に重要なポイントになってくるのだが、漫画の中の主人公たちは、スポーツの傍ら上手に恋愛もしている。
「器用に」と言ったらいいのか。
スポーツに打ち込みながらも可愛い彼女がいる。
僕の中でずっと引っ掛かっていたのがその部分だった。
青春漫画を読んで胸が苦しくなるのはそのスポーツと恋愛の合わせ技の部分が大きいのだ。僕だって大人になり恋愛はした。恋愛はしたが、「スポーツに打ち込みながら恋愛もしている」という合わせ技の境地に立つことは一度もなかった。というか、あるわけがない。28歳になり、今更プロ野球選手を目指すと決意し仕事も全て辞めてバットの素振りを真剣に始めたら、色んな人が僕を心配するだろう。心配ならまだ良い方だ。「フルタは終わった」「フルタは宗教に入った」「フルタはウンコ以下だ」と言われるだろう。当然だ。そして、僕はウンコ以下だ。


僕が読んだことがないだけなのかもしれないが、まったく恋愛要素がゼロの部活漫画ってないんだろうか。本当に女っ気がないスポーツ漫画。もちろん、男達は全員童貞で全員救いようのないブサイク。で、ひたすら部活を頑張るというだけの漫画。優勝したからって、部活の顧問がおっぱいを見せてくれるわけでもない。そんな要素すら何もない。
本当にブサイクが部活のスポーツに打ち込むだけの漫画!



絶対に読みたくないな。



やっぱり読みたいのはなんだかんで「あだち充」。
今、一番読みたい漫画はコレだ。

クロスゲーム
正月の楽しみである。<文・フルタジュン>


★来週のキーワードは「透明人間」です。