あとさき

僕が演劇と関わるようになったのは、2004年からだ。
もう5年以上前のことになる。

思えば遠くへ来たも……そう遠くには来ていないか。

人間、5年間も他人と関わる事を続けていれば、それなりに変化するものである。
と思う。

なんで僕が演劇に関わったのかと言えば、それは単なる気まぐれだったとしか言いようがないような気がする。

大学に一浪して合格して浮かれていた僕は、今までまったくやったことのないことをやってみたいという、ある種の変身願望にも似たものを抱いていたように思う。
そこに、たまたま演劇がささったわけである。
もしかしたら、グリークラブに入っていたかもしれないし、ラグビー部に入っていたかもしれない。マリファナパーティークラブ……なんてものは無かった。あ、でも怪しい宗教だかマルチ商法の勧誘は受けたなあ。そこに行っていたら……それはそれで違う意味での刺激的な日々を送っていたかもしれないが。


まあ、たまたま演劇に関わるようになった。


それから5年が経ったのである。


上にも述べたが、5年も経てば、様々な変化があるものである。


僕に勧誘のビラを渡したあの先輩は、現在、様々な事情で役者から離れてしまった。

僕が初舞台を踏んだときのメンバーで、今も板の上に立っている者は、おそらくいない。

半分以上、いや、ほとんど全員と、ろくに連絡をとっていない。
(これは、ただ単に自分がものぐさなだけなのかもしれないが)

そんな中、“たまたま”で演劇を始めた僕が、いまだに演劇からは離れられないという事実。

未だに半年に一度は、往復三時間も掛けて千葉から下北へ通っているという事実。

金と時間と体力を多分に費やして、言葉では言い表せない何かを得ているという事実。


なんとも不思議なものだ。

これから、どこまで演劇と関わる道を歩いていくことになるのかは知らないが、

もし僕が行くことになるならば、
その道が、あまり険しくない道であることを願っている。


たぶん、とても険しい道だろうけど。