008.鎮痛剤

若干重めの話ではありますが、ちょっと思いついてしまった、というかこのことについて頭が一杯になってしまったので書いてみたいと思います。


僕は子供の頃から娯楽にまつわる仕事がしたいとつねづね思っていました。いや、正確に述べるならば、思ってすらいなかったのです。
言い換えるならば、娯楽にまつわる仕事でないものは、視野にすら入っていなかったんですね。


で、何故娯楽にまつわる仕事をしたいと思っていたのかと言えば、
楽しい事が好きだからです。
文字にするととても幼稚でややアホらしいですが、それ以上に言いようがありません。


でも、これだと語弊があるんです。と言うよりも足りない。


突き詰めていくと、人の<感情を動かしたい>という欲望があるのです。
しかも、可能なかぎり快い気持ちにしたい。させたい。
感動させたいわけです。
感動って言葉は「泣けるもの」に関連づけられることが多いですが、
笑いも感動だし、得心した(感心した)ことだって感動と言っていいのではないでしょうか。


例えば、僕の現在の仕事、ラジオの作家業で言えば、(やや傲慢かもしれませんが)僕がメールを採用することによって、
感動した方もいらっしゃるかもしれません。
話の流れを作ったりサクラ的に笑うことで面白い番組づくりの一助となり、
それに感動(主に笑いの方向ですが)を覚えた方だっていらっしゃるかもしれない。


この感動が、願わくば、多くの人に届いて欲しいと心から思います。


そういった娯楽には、一種の鎮痛剤のような効果があるんじゃないでしょうか。
そんなことをふと思いました。


辛いことに立ち向かうための助け。いや、そこまで大層なものでもなくていいかもしれません。気休めと言われても構いません。
疲れとか嫌気とか悲しさとか寂しさとか、負の感情をちょっとでも紛らわせる鎮痛剤のようなものを作っていきたいと、改めて思います。


なんか子供っぽいですね。自分でそう思います。
照れ隠しです。


<文・和田宜之>